『油の種類』

悪い油を減らし、良い油を摂ろう

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一般的に、動物性の油は悪く、植物性の油は体に良いと思われていますが、一概にそうとは言えません。 体に全く必要なく悪いことしか及ぼさない油もあれば、体にとってとても重要な働きをする必須脂肪酸まで、 いろいろな種類の油があるのです。
脂質はまず、細胞膜などの生体膜を形成するという重要な役割を担っています。細胞膜は、栄養素を取り込む、老廃物を排出する、細菌やウィルスの進入を防ぐ、細胞同士の情報を伝達する、ホルモン様物質の材料になるなど、私たちが生きていく基礎となる大切な役割を果たします。その他、糖質に次ぐ第二のエネルギー源になる、熱の発散を防いで体温を保つ、太陽の光を利用してビタミンDを合成する、脂溶性のビタミンの吸収を助けるなど、たくさんの働きをしています。
しかし、現代の私たちは体に必要な「本物の油」を食べずに、トランス脂肪を多く含む精製油や固形の 植物油など「偽物の油」ばかりを摂ってしまう傾向にあるのです。摂りすぎが懸念される脂肪酸、特にトランス脂肪酸は徹底的に摂取を控え、オメガ 3系の油を積極的に摂ることが大切です。

積極的に食べよう
オメガ3
(不飽和脂肪酸)
このグループの代表はEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、アルファ−リノレン酸。オメガ6と相反する作用をする。必須脂肪酸である オメガ3とオメガ6の理想比率は1:4〜5だが、現代人の食事は1:10〜50とも言われており、非常に不足している。細胞膜を柔らかく する、アレルギー抑制、炎症抑制、血栓抑制、血管拡張などの作用がある。脳の健康、骨の健康、神経疾患の予防、炎症を抑える、ガンの予防、 生殖機能の向上、不妊症の予防、心臓病の予防、肥満の予防などが期待できる。脳の情報伝達には不可欠。 フラックスオイル、シソ油、青背の魚油(天然のもの)
良質なものを使おう
オメガ9
(不飽和脂肪酸)
代表はオレイン酸。オレイン酸は、善玉コレステロールを下げずに悪玉コレステロールだけをさげる働きがある。ほかにも、胃酸の 過剰な分泌を防いで胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防したり、肝臓やすい臓、腸などの機能を高めて便秘解消にも役立つといわれている。不飽和脂肪酸の中では加熱調理に向くが、150度以上になるとトランス脂肪などを生成してしまう。 オリーブオイル、キャノーラ油など
摂取量を減らそう
オメガ6
(不飽和脂肪酸)
代表はリノール酸。オメガ6と相反する作用をする。細胞膜を硬くする、アレルギー促進、炎症促進、血栓促進、血液を固めるなど。必須脂肪酸であるが過剰摂取により、脳梗塞や心筋梗塞、ガン、アトピーや花粉症など、さまざまな現代病を引き起こす原因となっている。 ベニバナ油、ひまわり油、コーン油など
動物性脂
一部の植物性油

(飽和脂肪酸)
融点が高く劣化しにくいため、揚げ物や炒め物には向いているが、体内で合成できるため、必ずしも食事から摂る必要はない。 むしろ摂りすぎによる弊害が指摘される。体温よりも融点が高いため、血液をドロドロにしてしまう。パワーをつけるために肉を食べるのは間違い バター、ラード、牛や豚の脂身、綿実油、ココナッツ油、ヤシ油(中鎖脂肪酸)など
食べてはいけない
トランス脂肪
(トランス型脂肪酸)
人工的に作られた不自然な油脂です。そのため、分解・代謝するには時間がかかり、大量のミネラルやビタミンを消耗します。そして、体の役に立つ 機能はありません。そればかりでなく、老化やガンの原因になる活性酸素をたくさんつくる、ほかの重要な脂肪酸の機能を妨げるなど、さまざまな悪い働 きをします。そして、細胞膜の構造や働きが不完全になり、細胞に必要なものが流出してしまったり、有害物質が侵入しやすくなってしまうのです。脳の 活動に必要な酵素を破壊したり、心臓病や糖尿病、メタボリックシンドローム、認知症などの原因になると考えられています。特に 妊婦や乳幼児には多 大な害を及ぼします。 マーガリン、ショートニング、原材料が食品精製加工油脂の油など

トランス脂肪を避けるために

発明された当時は、酸化しやすい植物油が安価で長期保存できるようになったということで大絶賛されたマーガリンですが、今では トランス脂肪を多く含む代表となっています。その他、さまざまな食品に含まれています。加工食品の原材料名に「ショートニング」「加工 油脂」「ファットスプレッド」と書かれているものには、トランス脂肪が大量に含まれている可能性があります。飲食店やデパートの地下など で売られているコロッケやフライが家で作るよりもカラッと仕上がっていると感じることがあると思いますが、実はショートニングを入れた油で揚げて いるだけ、ということも珍しくありません。 トランス脂肪酸を多く含む食品は、小容器(ポーションタイプ)のコーヒーフレッシュ、カップラーメン、フライドポテト、冷凍チキン、ドーナツ、パウンドケーキ、チョコレート、 ホイップクリーム、クッキー、ポテトチップス、ドレッシングなどです。
しかし、元はトランス脂肪を含まない油であっても、加熱することにより不飽和脂肪酸がトランス脂肪に変貌してしまうので、揚げ物や炒め物にも 含まれてしまいます。

油の精製「溶剤抽出法」

かつての食用油は、種実類、ナッツ類、果実類からシンプルに搾り取っていたため、「一度にたくさん摂れない貴重なもの」であり「すぐに使わないと 悪くなってしまうもの」でした。本来は生鮮食品と同類で長く保存できないため、本物の油であれば冷蔵されたり冷暗所に置かれ、光を通さない容器に 入っているはずです。しかし、市販されている油のほとんどは常温で透明の容器に入れられているにもかかわらず、きれいな色のまま長期保存できます。 それは、その製造方法のほとんどが、へキサンなどの化学溶剤を添加し、栄養素を取り除き、110度という高温で脱色、さらに240度〜270度もの高温で 長時間放置して脱臭し、保存剤などを添加するというものだからです。不飽和脂肪酸は、高温にさらされることによりトランス脂肪に変わります。 150度で分子構造が突然変異し、160度で確実にトランス脂肪に変貌し、200度で連鎖するように急増します。溶剤抽出法で精製された油は、すでにトラ ンス脂肪を含んでしまっているのです。この製造方法では、大切な栄養素や風味が抜き取られただけでなく、トランス脂肪をはじめ、活性酸素 や過酸化脂質などの有害物質が大量に発生し、私達の体にダメージを与えてしまいます。
ラベル表示に「植物性油脂」「食用精製加工油脂」と書かれたものは、この方法でつくられた可能性が高いので注意が必要です。
「コールドプレス(低温圧搾)」とラベル表示された油を選んでください。これは、30度以上の熱をかけずに原料を搾るという、昔ながらの抽出法で 作られたもので、栄養が豊富で一番安全です(コールドプレスであっても、脱ガム・脱色・脱臭してボトル詰めした「放出性圧縮油」では意味があり ません)。割高感は否めませんが、むしろ植物油が安価で手に入ること自体が「異常」なのだ、と考えてください。 貴重な油を少量だけ用いるような食生活を送れば、結果として油の摂りすぎも防げます

オメガ3を魚類から摂る注意点

オメガ3とオメガ6は体内で合成できない必須脂肪酸であり、食事などを通して外から補う必要があります。この2つのグループは拮抗関係にあり、 オメガ3対オメガ6は、1対1から1対4のバランスで摂ることが理想ですが、ほとんどの現代人が1対10から1対50というとんでもない比率に なっています。ただ単にオメガ3を摂るのでなく、オメガ6を徹底的に控えたうえでオメガ3を摂ることが重要です。徹底して オメガ6を控えなければ、単なる「油の摂りすぎ」になり、かえって健康に支障をきたす恐れさえあります。
オメガ3を魚から摂る場合の注意点がいくつかあります。養殖魚は、天然魚に比べてDHAやEPAが少ないだけでなく、自由に泳ぎ回れないために 海洋汚染の影響を受けやすく、餌の中に有害物質が濃縮されている可能性も高いのです。特に養殖鮭には合成着色されたものまであります。また、 天然魚でも大型魚になると有機水銀が濃縮されているため、摂り過ぎには注意が必要です。ですから、大型魚はなるべく控えめにして、イワシ やアジ、サバなどの養殖でない青背魚を食べるようにしてください。

オリーブオイルの効果と選び方

オメガ9グループの代表であるオリーブオイルですが、その中でも良し悪しがあります。化学溶剤などを使っている可能性のあるピュアオリーブオイルやオリーブポマースオイルではなく、「エクストラバージンオリーブオイル」を選んだうえ、以下の項目を確認して購入してください。(以下のことは、オリーブオイル以外のあらゆる植物油にも共通しています。)
コールドプレス(30度以上の熱を加えていない証明です。)
オーガニック認証(化学肥料や農薬を使わずに栽培している証です。)
自社生産・自社瓶詰(オリーブは収穫してすぐに酸化をはじめるので、短時間で仕上げるほうが良いのです。)
遮光瓶である(光による酸化を防ぎます。)

パワーをつけるために食べると良いもの

日本人は脂質を分解する消化酵素を少ししかつくれないため、肉類を消化するには膨大なエネルギーが消耗されてしまいます。そのため、 パワーをつけようと思って肉を食べても逆に運動能力を発揮しにくくなり、疲れやすくなったり心臓に負担がかかったりします。 日頃の食事では、動物性脂は極力摂らないほうが良いと言えます。
パワーをつけるなら、玄米(無農薬のもの)などの糖質と、大豆製品などのタンパク質を食べると良いでしょう。

妊婦と乳幼児には特に恐ろしいトランス脂肪

妊婦はホルモンの仕組み上、どうしても血糖値が上昇しやすくなるため、妊娠が引き金になって今まで潜んでいた糖尿病体質が表に出てくるというケースが あります。妊娠初期に血糖値が高い場合、先天性の異常を抱えた子どもが生まれる確率も高いと言われています。人間の脳の60%は脂質で構成されていて、 その脳は胎児期にさかんに細胞分裂を行い、出生後1年で約80%が完成し、3歳までに神経回路が決定されるといわれています。トランス脂肪は脳の活動に 必要な酵素を破壊し、注意欠陥障害(ADD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などを引き起こす大原因になるという報告があります。ヨーロッパ各国では、トランス 脂肪を〔殺人脂肪〕として扱い、一定基準よりも多く含む食品を違法としています。ニューヨーク市では、2008年7月までにすべての調整食品からトランス脂 肪を排除することを法律化しています。妊婦や乳幼児は、トランス脂肪が含まれた食事は絶対に避けるべきなのです。

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参考:杏林予防医学研究所所長 山田豊文著/病気がイヤなら「油」を変えなさい!(河出書房新社)